バンコクのチュラポーン王室アカデミーが、医療物理学分野における国際学術会議をタイで初めて開催します。「Geant4-DNA国際チュートリアル」と題されたこの会議は、モンテカルロシミュレーション技術の進展と国際的な研究ネットワーク構築を目指します。Khaosodが報じました。
この記事の要約
- チュラポーン王室アカデミーのシーサワンカワッタナ医学部が、タイで初のGeant4-DNA国際チュートリアルをバンコクで開催しました。
- この会議は、医療物理学におけるモンテカルロシミュレーション技術の知識とスキル向上、および国際的な研究ネットワーク構築を目的としています。
- 日本を含む国際的な専門家が講師を務め、DNAレベルでの放射線相互作用シミュレーションに関する最新技術を共有しました。
タイ初の国際学術会議「Geant4-DNAチュートリアル」開催
2026年3月18日から20日にかけ、バンコクのラクシー区にあるチュラポーン王室アカデミー・シーサワンカワッタナ医学部にて、「Geant4-DNA国際チュートリアル」がタイ国内で初めて開催されました。
本会議は、医療物理学におけるモンテカルロシミュレーション技術の知識とスキルを高めることを目的としており、教授、研究者、学生、そして一般の関心を持つ人々の間で、国際的な協力ネットワークを構築する貴重な機会を提供しました。
国際色豊かな専門家陣が集結し、最新技術を指導
開会式には、医学部大学院研究科長兼医療物理学・医療工学博士課程(国際プログラム)のティアシン・リアムスワン助教授が登壇し、プロジェクトの開始を宣言しました。講師陣には、国際的に著名な専門家が名を連ねました。具体的には、オランダのデルフト工科大学のコンスタンティノス・チャツィパパス助教授、フランスのCNRS(フランス国立科学研究センター)のセバスティアン・インチェルティ博士、ベトナムのハノイ大学のル・トゥアン・アン博士、日本の産業技術総合研究所(AIST)から坂田動察博士、そしてフランスのCNRSのゴック・ホアン・トラン博士らが参加しました。
DNAレベルでの放射線相互作用シミュレーション技術
ティアシン助教授は、Geant4-DNAについて「汎用粒子物質モンテカルロシミュレーションツールキットの拡張であり、DNAレベルでの放射線相互作用のシミュレーションに用いられる」と説明しました。このGeant4-DNAの開発は2008年から継続的に行われており、欧州宇宙機関(ESA)、フランスのCNRS、日本の大阪大学など、国際的なネットワークとの協力のもと進められてきました。
東南アジア地域での技術普及と研究協力促進
2026年には、Geant-DNA協力グループはタイおよび東南アジア地域の新規ユーザー向けにGeant4-DNAのトレーニング開催に意欲を示しており、関心のある人々がその使用原理を理解し、自身の研究に活用できる機会を提供することを目指しています。また、これは関連する研究分野での知識交換を促進する場ともなります。
シーサワンカワッタナ医学部の医療物理学研究グループは、長年にわたりモンテカルロシミュレーションプログラムの研究と利用を行っており、その実績から、これまでに世界各国で15回以上開催されてきたGeant4-DNAチュートリアルの主催という大役を任されました。
今回の開催は、タイにおける医療物理学分野の学術サービスを教授、研究者、学生、一般市民に提供する素晴らしい機会であり、Geant4-DNAグループや他の参加研究グループとの協力関係を深める場ともなります。さらに、これは世界的な組織とのネットワークを強化し、その知識をタイの公衆衛生システムの計画に応用する機会を増やすことにも繋がります。
Thai-Picks View
タイでは、王室が伝統的に科学技術や教育の振興に積極的な役割を担っており、今回の国際学術会議開催もその一環と言えます。報告書によると、タイは近年、サービスやデジタル技術を基盤とした経済構造への転換を目指しており、医療分野におけるこのような高度なシミュレーション技術の導入と研究促進は、国の競争力強化に不可欠です。特に、国際的な研究協力は、タイが先進的な医療技術を国内に導入し、医療インフラ全体の質を向上させる上で重要な鍵となります。
この種の国際会議の開催は、タイの科学技術レベルが国際的に認知されつつあることを示しています。バンコク在住の日本人にとっては、こうした学術的な発展が将来的にタイの医療サービスの質の向上に繋がり、より安心して生活できる環境が整備される可能性を秘めています。また、日本企業がタイの医療・科学技術分野で事業展開する上でも、現地の研究動向や人材育成の取り組みを把握する上で重要な情報となるでしょう。