タイの金価格が、金塊・装飾品ともに1バーツあたり7万バーツ(約35万円)を突破しました。2026年3月25日、金価格は1日で39回もの価格調整が行われ、高値水準を維持しています。この動きは、タイの主要経済メディアであるPrachachat.netが報じたものです。
この記事の要約
- 2026年3月25日、タイの金価格は1日39回の調整を経て、金塊・装飾品ともに1バーツあたり7万バーツ(約35万円)を超えました。
- 世界的な金価格は、米国のドル指数と債券利回りの安定、そして米国によるイランとの和平交渉の動きにより、安定傾向にあります。
- しかし、中東の地政学的緊張とインフレ懸念から、FRB(米連邦準備制度理事会)が金融引き締めのために利上げを余儀なくされる可能性が指摘されています。
タイ国内の金価格が急騰
タイの金取引市場では、2026年3月25日に1日を通して計39回の価格調整が行われ、前日終値と比較して合計で2,200バーツ(約11,000円)の上昇を記録しました。タイ金商組合の最新データによると、装飾用金は1バーツあたり71,300バーツ(約356,500円)で取引され、また96.5%の金塊は、買い取り価格が1バーツあたり70,300バーツ(約351,500円)、販売価格が1バーツあたり70,500バーツ(約352,500円)となりました。
国際金価格(Gold Spot)は、1オンスあたり4,553.00ドルで推移しており、為替レートは1ドルあたり35.69バーツです。これは、タイの経済情勢だけでなく、国際的な金融市場の変動が金価格に大きな影響を与えていることを示唆しています。
地政学的リスクと世界経済への影響
大手金取引業者フアセンヘン(Huasengheng)の分析によると、世界的な金価格は、米ドルの指数(DXY)が99.35、米国10年債利回りが4.34%と比較的安定しているため、狭いレンジで推移しています。これは、米国がパキスタンを仲介役とし、イランとの紛争終結に向けた15項目の和平案を策定していることに起因します。この和平案は、イランの核兵器保有とウラン濃縮を厳しく禁止する内容を盛り込んでいます。
一方で、中国の王毅首相とインドのナレンドラ・モディ首相は、ホルムズ海峡の早期開通と交渉による紛争解決を強く求めており、世界経済の安定化を目指しています。しかし、米国は交渉が決裂した場合に備え、数千人規模の海兵隊と陸軍を中東に派遣し、武力によるホルムズ海峡開通も辞さない構えを見せています。また、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、トランプ氏に対し、中東のパワーバランスを再編する好機と捉え、戦争継続を促しているとされています。
こうした中、2008年のサブプライム危機を予見し「ドクター・ドゥーム」の異名を持つニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は、もしイラン紛争によってインフレが国民生活を圧迫する水準にまで達すれば、FRBはインフレ抑制のために直ちに利上げを迫られるだろうと警鐘を鳴らしています。
今後の金価格の動向と注目点
現在の金価格は、横ばい傾向(Sideway)が予測されています。ドルの安定や米国によるイラン和平への努力が金価格を押し上げる要因となる一方、依然としてインフレの懸念が残ります。
国際金価格(Gold Spot)は、安値4,456ドルから高値4,601ドルの間で推移しました。国内の金塊価格は、安値70,400バーツ(約352,000円)から高値71,200バーツ(約356,000円)を記録しています。フアセンヘンの分析では、世界金価格が4,470ドル(約67万円)の支持線を上回って推移していることから、4,630ドル(約69.5万円)および4,700ドル(約70.5万円)への上昇テストが期待されます。しかし、その後一時的な調整が入る可能性もあります。もし4,400ドル(約66万円)の支持線を下回った場合は、さらなる下落基調に転じる可能性も指摘されています。
なお、本日は米国からの主要な経済指標の発表は予定されていません。
Thai-Picks View
今回の金価格の高騰は、単に投資市場の動きに留まらず、タイの経済構造が抱える課題を浮き彫りにしています。タイは石油や天然ガスなどの重要資源の多くを輸入に頼っており、世界的な地政学的緊張やサプライチェーンの混乱は、国内のインフレに直結します。特にドル高や原油価格の上昇は、タイバーツ建ての輸入物価を押し上げ、ひいては国民の生活費全体に影響を与える構造的な問題を抱えています。
タイに在住する日本人にとって、金価格の動向とその背景にある世界経済や地政学リスクは、決して他人事ではありません。物価上昇は生活費の増加に直結し、特に食品や公共料金、燃料費といった日常支出に影響を及ぼします。自身の資産保全や生活防衛のためには、タイ国内の経済ニュースに常に注目し、バーツ建て資産と円建て資産のバランスを見直すなど、賢明な家計管理が求められます。また、今後の金利動向や為替レートの変動にも注意を払い、可能な範囲で分散投資を検討することも有効な対策となるでしょう。