タイのEVディーラーがNETA Viiを半額の29.9万バーツ(約149.5万円)で販売し、数百台の在庫を一掃すると発表しました。これは親会社からの不当な扱いに対する断固たる抗議であり、数百億円規模の損失を覚悟した「痛み分け」の決断です。タイ大手メディアKhaosodが報じました。
この記事の要約
- NETAディーラーが親会社による不公正な価格競争を告発し、NETA Viiを50%値下げで販売。
- 数百台の在庫を抱え、多額の損失を被りながらも、顧客へのアフターサービスを維持するため販売継続を決定。
- この動きは、タイのEV市場における熾烈な競争と、ディーラーが直面する厳しい現実を浮き彫りにしている。
NETAディーラー、親会社の不当な価格破壊を告発
2026年3月26日、EVブランドNETAのディーラーであるジェサディン・タワンサクウッドヒ氏が自身のFacebookで詳細を語り、タイのEV市場に激震が走っています。同氏によると、NETAタイランドはディーラーに対し、2025年末に1,000台以上、総額7億バーツ(約35億円)相当の車両を半ば強制的に購入させたといいます。これは、NETAがディーラーに負っていた約2億バーツ(約10億円)の未払い金を相殺するためだったとのことです。
しかしその後、親会社が市場価格を急激に引き下げたため、ディーラーが抱える在庫車の価値は瞬時に下落し、数百億円規模の多大な損失が発生しました。ジェサディン氏は、この一連の動きを「NETAタイランドがタイに大きなゴミの山を投げ捨てた」とまで表現し、自身が被った損失は「5億バーツ(約25億円)以上」に上ると主張しています。
在庫一掃セール!NETA Viiが半額に
親会社との関係悪化と巨額の損失を受け、ジェサディン氏はこの状況を「痛み分け」として受け入れ、在庫にあるNETA Vii車両を一掃する「最後の戦い」に踏み切りました。通常56.9万バーツ(約284.5万円)のNETA Viiを、半額以下の29.9万バーツ(約149.5万円)という破格の価格で販売することを決定しました。
このセールで販売されるのは「新車」ですが、メーカー保証は一切付属しないという異例の条件が付いています。これは、保証を提供すべき親会社が保証義務を果たしていないためであり、購入者はその点を理解した上で購入する必要があります。現在、NETA Viiの約300台の在庫があり、問い合わせに応じてNETA Comfortモデルも販売される予定です。
タイEV市場の激動とディーラーの苦境
ディーラー側は、過去2年以上にわたり、バンナーとラヨーンにサービスセンターを開設し、購入顧客を支援してきました。これらの土地は価値が数千億円バーツ(約数百億円)に上るといわれ、賃貸に出せば月に40万〜50万バーツ(約200万〜250万円)の収入が見込めるにも関わらずです。しかし、親会社は問題のある車の交換費用や部品代など、数千万バーツ(約数億円)にも及ぶアフターサービス関連費用を支払わず、ディーラーは大きな負担を強いられてきました。
ジェサディン氏は、この苦境の中でも「NETAのEVは基本的な性能は良く、修理も簡単で部品も市場にある良い車だ」としつつ、「今回は数百億円の損失を覚悟して販売している」と述べています。今回の件は、タイのEV市場における競争の激化と、それに伴うディーラーとメーカー間の複雑な問題が表面化したことを示しています。
Thai-Picks View
このニュースは、タイEV市場の熾烈な競争と、その裏にある構造的な課題を浮き彫りにしています。中国EVメーカーは、ACFTA(ASEAN中国FTA)による関税撤廃と積極的な価格戦略でタイ市場に急速に参入し、かつての日本車の優位性を揺るがしています。タイ政府もEV普及を振興する政策を打ち出していますが、急激な市場の変化は、今回のようなディーラーと親会社間の紛争や、既存サプライチェーンへの予期せぬ大きな圧力を生み出していると言えるでしょう。
このような状況は、タイ在住の日本人にとっても無関係ではありません。EV購入を検討する際は、車両価格だけでなく、アフターサービス体制や保証内容を慎重に確認することが極めて重要です。特に、今回のようにディーラーが保証なしで販売するケースでは、将来的な修理費用が高額になるリスクも考慮に入れる必要があります。中古車市場の変動も激しいため、数年後の売却価値にも影響が出る可能性があります。タイでのスマートなEVライフのためには、購入後の維持費やサポート体制まで含めた総合的なコストとリスクを評価する「賢い選択」が求められます。