AI時代を生き抜く新卒必須スキルリスト

この記事の要約
- 2026年1月17日、タイのタマサート大学は、AIの台頭と世界的な大量解雇に直面する新卒者向けに、失業しないための重要スキルリストと激励メッセージを発表しました。
- 大学のベビーブーマー世代からアルファ世代までの教員と学生が、継続的な学習、テクノロジー適応、回復力、倫理観といった多岐にわたるスキル習得の重要性を強調しています。
- この取り組みは、AIが米国の労働市場の11.7%を代替可能と指摘される中、2025年に米国で117万件もの大量解雇が発生するなど、変化の激しい現代社会で新卒者が職を得て活躍できるよう支援することを目的としています。
2026年1月17日、タイのタマサート大学は、世界中で人工知能(AI)の普及と大規模な解雇が加速する中、全国の新卒者を対象に、厳しい労働市場を生き抜くための必須スキルと心構えに関する貴重な提言を発表しました。大学の様々な世代の教員や学生が、激変する社会で求められる能力について、それぞれの視点から具体的なアドバイスを提供しています。
変化の時代:AIと大量解雇がもたらす労働市場の激変
現代社会は、AIの急速な進化によって大きく変貌し、特に労働の世界ではその影響が顕著です。2025年11月に発表されたマサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によると、アメリカの全労働市場の実に11.7%の仕事がAIによって代替可能であると指摘されています。これは、技術革新が人間の仕事に与える影響の大きさを示唆しています。
さらに、2025年は世界中で大規模な解雇が相次いだ年となりました。アメリカだけでも117万件以上の従業員レイオフが発生し、これは2020年以降で最多の数字です。アマゾンが1万4千人から3万人、日産が世界で約2万人もの人員削減を計画するなど、大手企業でさえも組織再編とAI活用推進のために従業員を削減しています。これらの解雇の波は、特に初級レベルの職種にも及んでおり、新卒者にとっては一層厳しい現実が突きつけられています。
タマサート大学からの贈り物:世代を超えた新卒へのエール
このような時代背景の中、2026年のタマサート大学卒業式に合わせて、同大学の様々な世代(アルファ世代からベビーブーマー世代まで)の人々が、全国の新卒者に向けて、仕事の世界に踏み出す前に準備すべき必須スキルチェックリストと激励の言葉を贈りました。これは、新卒者が新しいキャリアパスへと進むための心からの「贈り物」です。
ベビーブーマー世代からの教え:学び続け、失敗を恐れるな
ベビーブーマー世代を代表して、タマサート大学の元評議会議長であるノラニット・セータブット名誉教授は、自身の長年の経験から「仕事に就くことは、学ぶことをやめることではない。むしろ仕事を通じて学び続けることだ」と簡潔に語ります。彼は、学びを止めないこと、常に知識を吸収し、探求し続けることの重要性を強調しました。
また、もう一つ重要なスキルとして挙げたのが問題解決能力です。これは、私生活においても仕事においても最も重要なスキルであると述べられています。仕事には成功も失敗もつきものですが、失敗しても諦めず、それを教訓として解決策を見つけ、成功へと導く力が不可欠です。名誉教授は、「現在の新卒者は国の未来そのものだ。彼らが知識と決意を持って、家族や自身のためだけでなく、社会や国のために貢献することを願う」と激励しました。
ジェネレーションXからの視点:テクノロジーと倫理の共存
ジェネレーションXからは、タマサート大学のスパサワット・チャチャワーン学長が、AIが現代社会と仕事のあり方を大きく変える中で、誰もが持つべきスキルについて語りました。学長が最も重視するのは、急速に変化するテクノロジーに適応し、それを仕事や責任に役立てる能力です。
そして何よりも重要なのが、テクノロジーを正しく倫理的に、そして公共の利益のために活用することです。これらが未来の労働市場で生き残るための鍵となると学長は指摘します。AIのような技術スキルは重要ですが、それと同時に論理的思考、分析力、規律、自己と他者への尊重、協調性といった基本的なスキルも極めて重要であり、これらは仕事の羅針盤として、また今後の人生の指針として不可欠であると強調しました。
ジェネレーションYからの提言:持つべき3つのこと、捨てるべき3つのこと
ジェネレーションYを代表するのは、タマサート大学工学部工業工学科のスパマース・スチャートゥワノン助教授です。助教授は、仕事の世界に入るために準備すべき3つのことを提言しています。一つ目は、どんな困難や失望にも立ち向かう「闘志」を持つこと。二つ目は、学びを止めず、生涯にわたって世界の生徒であり続ける「Live Long Learning」の精神を持つこと。そして三つ目は、常に多様性を受け入れ、共感し、他者を尊重することです。仕事の世界には、年齢も考え方も異なる多様な人々が存在するからです。
さらに助教授は、同時に「捨てるべき3つのこと」も挙げています。一つ目は、固定観念や成功への定型的な考え方です。現実の仕事には、教科書のような明確な答えはなく、無数の選択肢の中からその場の状況に応じて決断する必要があるからです。二つ目は、心身の健康を疎かにすること。健康は仕事における重要な資本であり、若いうちにケアしなければ取り戻すのが難しいからです。そして三つ目は、チャンスを逃すこと。良い機会が訪れたら、それが自分にはまだ早い、能力が足りないなどと恐れず、積極的に受け入れ、自らチャンスを掴み、あるいは生み出す努力をすべきだと訴えました。
ジェネレーションZからのメッセージ:自分を追い込まず、コントロールできることに集中する
今回、全国の新卒者と同じ世代であるジェネレーションZからは、タマサート大学医学部のドリヤワット・ソンティー学生が、現代世界が変化、不確実性、緊張、紛争に満ちた「混乱の時代(Disruptive Era)」であると認識し、新卒者が世界の状況を制御し、形作る重要な力となると述べました。
ドリヤワット氏は、労働市場に入る前に「GRAD+」というコンセプトで5つの準備をすることを提案しています。Gは「Good Principle(良い原則)」、つまり揺るぎない原則を持ち、自己を愛し尊重すること。Rは「Resilience(回復力)」、失望や悲しみに直面しても立ち直る力。Aは「Accept(受容)」、自身の既存の枠組み以外の多様な違いを受け入れること。Dは「Delight(喜び)」、現実的で合理的に世界をポジティブに見ること。そして「+」は、より良い社会と世界を共創するために、これら4つの原則を揺るがずに持ち続けることを意味します。
また、タマサート大学経済学部を首席で卒業し、プーミポン奨学金を受賞したサリタ・チャノックナムチャイ氏(現在社会人)も、友人である新卒者たちにメッセージを送りました。「どんなに学業で準備を重ね、多くのことを学んだとしても、実際の仕事では困難や失望、疲労、悲しみに直面するでしょう。職場環境も大学とは全く異なります」と、心の準備の重要性を説きます。
「経済や社会など、外部の状況が急速に変化している今、新卒者の皆さんには自分をあまり追い込みすぎず、自分がコントロールできることに全力を尽くしてほしい。コントロールできないことを過度に心配する必要はない」と、サリタ氏は激励の言葉を贈りました。
アルファ世代の期待:自信を持ち、常に新しい学びを
最後に、最年少のアルファ世代からは、タマサート大学付属学校の高校5年生で生徒会会長を務めるチンウィー・ウィセッサーン君(通称シン君)が、新卒者への期待を語りました。彼は、知識、考え方、理想に満ちた新卒者が、それらを仕事に活かし、社会にポジティブな影響を与え、未来の世代のために社会を前進させることを期待しています。
「全国の新卒者の皆さんを応援しています。自分を信じ、常に新しいことを学ぶ機会を受け入れてほしい。テクノロジーや様々な要因によって、世界は未来において非常に速く変化するでしょう。次の世代として、先輩の新卒者の皆さんが成長し、学び、世界に適応していく姿を見ることは、私たちにとって最高のモチベーションとなり、素晴らしい学びの教訓となるでしょう」と、チンウィー君は最後に述べました。
引用元:
https://www.prachachat.net/education/news-1952215
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