新政府への提言:タイ経済救う「New Sカーブ」

この記事の要約

  • 2026年1月16日、タマサート大学商学部マーケティング学科のウィタワット・ルンルアンポン教授は、低迷するタイ経済の活性化と国際競争力強化のため、新政府に対し「New S-curve」戦略の推進を強く提言しました。
  • 教授は、世界経済の減速や国内の家計債務問題、周辺国の競争激化といった多重の課題に直面する中、従来の景気刺激策や債務解決策ではタイ経済の根本的な解決にはならないと指摘しました。
  • デジタル経済、AI、持続可能性、高付加価値農業、自動車・医療ハブ、国防産業など、新たな成長分野への集中的な投資財政規律を重視した予算支出が、タイの未来を切り開く鍵であると強調しました。

はじめに:タイ経済の現状と未来への提言

2026年1月16日、タマサート大学のウィタワット・ルンルアンポン教授は、世界経済の持続的な低迷と国内の家計債務問題に直面するタイ経済を救う最終的な解決策として、「New S-curve」戦略の推進を新政府に提言しました。教授は、従来の景気刺激策や債務解決策の限界を指摘し、財政規律を伴う新たな成長産業への投資が、タイの競争力を高め、様々な脅威から生き残る道であると強調しています。

2026年、タイ経済を取り巻く厳しい環境

世界経済の減速と地政学的リスク

ウィタワット教授によると、2026年のタイ経済が直面する大きな課題は、過去2~3年続く世界経済の持続的な減速です。これは貿易戦争や各国での紛争、地政学的な不安定さなど、複数の要因に起因しています。これにより、海外からの需要と購買力は低下し、タイの観光業や輸出に深刻な影響を与えています。

国内の課題:家計債務と購買力の低迷

国内に目を向けると、家計債務の問題が国民の購買力を著しく低下させています。得られた収入が債務の返済に充てられるため、生産活動への活力が失われ、経済的な付加価値の創出が困難となる連鎖的な問題を引き起こしています。

地域競争の激化と自然災害の脅威

さらに、中国のような経済大国が景気低迷と供給過剰(Oversupply)に直面し、新たな輸出市場をASEAN地域、特にタイに求めているため、地域内での競争が激化しています。また、世界的な紛争リスクやタイとカンボジア間の国境紛争のような隣国との関係悪化は、外国人投資家の投資意欲を減退させ、国境貿易の停滞や地域経済の低迷、観光客の減少につながっています。これに加えて、頻発し深刻化する自然災害も経済に大きな打撃を与えています。

従来の政策では限界、求められる新たな戦略

繰り返される景気刺激策の課題

教授は、タイ経済がこれまでの道のりで受けた傷跡は深く、もし政府が引き続き景気刺激策や債務問題の解決にばかり注力する従来型のアプローチを続けるならば、国際競争力を高め多岐にわたる脅威から国を守ることはできないと警告しています。

財政規律を無視した政策の弊害

これまでの政府が実施してきた債務解決策や購買力刺激策は、その繰り返しと画一性が指摘されており、財政規律や財政構造改革への配慮が不足していました。このため、短期的には効果があっても、長期的には家計債務の増大国家財政の赤字拡大、ひいては公的債務の増加を招き、国際的な信用格付け機関からの信頼を損ない、国際金融機関からの借り入れを困難にするという重大な影響をもたらします。

タイ経済の未来を切り開く「New S-curve」

「New S-curve」への集中的投資

したがって、ウィタワット教授が未来の政府に強く推奨するのは、目標を定めた予算支出によって新たな収入源を創出することです。これは多額の資金を投じる一般的な景気刺激策とは一線を画します。教授は、タイ経済にとって「New S-curve」(新たな成長産業)こそが、最終的な解決策であり生き残る道であると断言しています。

具体的な「New S-curve」分野の推進

政府は、高い波及効果をもたらす政策を追求すべきであり、「New S-curve」を推進するメカニズムへの投資に重点を置くべきです。具体的には、デジタル経済人工知能(AI)持続可能性といった分野、さらには農産物の付加価値向上自動車ハブ医療ハブとしての確立、そして国防産業の推進などが挙げられます。これらの分野は長らく議論されてきましたが、今こそ政府が具体的な形で実現する時であると教授は強調しています。

ジレンマを乗り越える視点

一方で、景気低迷期において政府が国内の購買力を刺激し、公共投資や支出を促す必要があるというジレンマも理解できます。しかし、消費を刺激することは国民の家計債務問題を悪化させ、国の財政規律を損ない、財政赤字や長期的な公的債務の増加につながるため、国際的な信用を維持する上で重要な課題となります。この複雑な状況を乗り越えるためには、「New S-curve」への戦略的な転換が不可欠であると教授は訴えています。

引用元:
https://www.prachachat.net/economy/news-1951884

#タイ経済 #New Sカーブ #タイ新政府 #タイ投資

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です